産婦人科マニュアル (河内 健二)
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第4度会陰裂傷 0.16% 3度裂傷以上 0.8%

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人工肛門ー直腸腟瘻VS修復


①裂傷の見落とし・見逃し腟入口部から離れている場合
②裂傷の縫合が不十分

最初に会陰裂傷は分娩立ち会い医師が分娩室で処置することが多いと思われるが,
高度会陰裂傷の麻酔,縫合糸,縫合方法などの選択・手順に慣れていない場合や,頸管裂傷,血腫などを伴う場合には
応援医依頼または搬送を考慮すべきである。

3度,4度会陰裂傷縫合時の注意点

1. 前処置
3度,4度裂傷の場合は感染のリスクが高いため,
セファロスポリン縫合前に投与する
肛 門内・直腸内の便塊は可能なかぎり取り除き,
直腸粘膜 部と創部は生理食塩水食で洗浄し,
ポビドンヨード で消毒する。
直腸診や肛門内の操作を行った際に使 用した手袋は必ず清潔なものに交換する

2. 直腸粘膜の縫合  
直腸粘膜は周囲の結合織から剝離しておく。
裂傷 部の最先端より5~10 mm頭側から縫合を始める

直腸内腔に出ないように粘膜下組織および筋層を5 mm間隔で単結節縫合を行い

さらに
死腔 を残さないように
直腸筋層(内肛門括約筋)と直腸 腟中隔を
周囲の結合織を含め2層に単結節縫合を行 う


縫合は
合成吸収糸3-0または4-0丸針で 行う。


3. 外肛門括約筋の縫合  
外肛門括約筋の断端を
挫滅しないようにやさし くペアンまたは粘膜鉗子で牽引して断端を寄せた 状態にする
。細い糸では筋組 織が断裂するおそれがあるため,太目(1-0または 2-0)の合成吸収糸
丸針を用いて
Z縫合・U縫合・ マットレス縫合・8の字縫合などを
end-to-end法 で行う。

縫合終了後は直腸診を行い,
輪状に収縮した括約 筋を触知して
肛門の狭窄がないか,
縫合糸の直腸内 腔への露出がないか
を確認する


. 外肛門括約筋縫合後  
通常の2度会陰裂傷と同様に,
周囲の結合織とと もに球海綿体筋・浅会陰横筋と腟壁を
死腔ができな いように合成吸収糸2-0または3-0で縫合する。
腟 と直腸の間を補強することが,直腸腟瘻の発生を防 ぐと考えられている。

しかし,残念ながら完璧な外科的修復を行っ ても創部の離開や直腸腟瘻が発生することがある ので,
長期にわたるフォローアップが必要である。

手術記録の注意点
 
手術記録には創部の状態を詳細に記録しておく。
外肛門括約筋損傷の程度,
内肛門括約筋や直腸粘膜 損傷の範囲を記載し,
使用した縫合糸と縫合方法を 明記する。
感染対策として何を行ったかも記録す る


産婦への説明の注意点  
分娩時に発生する産道裂傷のなかでは損傷が大 きく,肛門括約筋や直腸粘膜が損傷したことを説明 しておく。
肛門の機能が一部損なわれ,便失禁や直 腸腟瘻が起こる可能性があること,
それらの症状は 分娩から時間が経って出現する場合があることに 言及しておく。
また,産後の性交渉についても遅く なる可能性があることも理解してもらう


次回の分娩方法に関しては,
経腟分娩でよいとい う意見 と予定帝王切開がよいという意見があ り,結論は得られていない。
それぞれの分娩方法に つきメリット・デメリットを十分説明し,
次回妊娠 時に選択してもらう必要があることを伝えておく。


術後管理の注意点
便通のた めには酸化マグネシウムなどの緩下薬を用いるが, 座薬や浣腸は使用しない。
創部の清潔を保つために
排便後は外陰部の洗浄や座浴を行う。

外科 大腸肛門

日本女性骨盤底医学会




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外肛門括約筋
腟直腸中隔


直腸粘膜⇒薄いピンク色 ベージュ色


・内肛門括約筋
 直腸の内輪筋 (直腸輪状筋) から連続した平滑筋が,肛門管周囲
で肥厚したもの



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第4度会陰裂傷の頻度は,984例中14例( 1.4%)
という我が国の報告

小西 先生:第4度会陰裂傷発
症に関するリスク因子の検討.産婦の進歩2012 がある。

また第3,4度の高度会陰裂傷は,2,542分娩中36例( 1.4%)に認められたという報告

吉田先生 高度会陰裂傷発生に対するリスク因子の検討.母性衛生 2006 もある。

Williams Obstetrics で
は,分娩時の高度会陰裂傷は0.25~6%の頻度で発生し,

第4度会陰裂傷では5.4%で創部離開や感染を経験すると記載されている。


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外肛門括約筋 損傷パターン
→完全損傷 部分損傷

3a 外肛門括約筋50%未満
3b         50%以上
3c 外肛門括約筋×+内肛門括約筋×


裂傷の両面を触り,窪んでいる部分がないかを確 認する。窪んだ部分には断裂した外肛門括約筋の断 端が退縮している可能性がある。

。埋没している外肛門括 約筋の断端をペアンまたは粘膜鉗子アリス鉗子 で挟鉗し牽引 すると,肛門輪の収縮を触知することができ,外肛 門括約筋断端を的確に把持できているかどうかを 判別することもできる。

第4度会陰裂傷には
肛門ならびに直腸粘膜に裂傷 が及ぶ場合(肛門直腸裂傷)と,
腟入口部から離れた 腟壁と直腸粘膜のみに裂傷を認める場合(直腸裂 傷)がある。

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周産期医学 2023年6月 神奈川県藤沢市 宮川先生
『Williams Obstetrics』の 25版では,直腸内 腔に糸を貫通させないよう5 mm間隔で2層の連続 縫合を行う方法が記載されている

直腸内腔に糸 を貫通させないことが感染や瘻孔を防ぐと考えら れていた。
しかし,直腸内腔への縫合糸の露出があ ると感染を起こしやすいという明らかなevidence はなく,
通常の消化管縫合である
Albert-Lembert 縫合でもよいともいわれている

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2021年 臨床婦人科産科 産科手術を極めるⅡ 第4度会陰裂傷に対する処置 利光先生 東京大学
2022年 第74回 生涯学習プログラム 産科手術における工夫 高度会陰裂傷(3度裂傷・4度裂傷)信州大学 菊池先生
ACOG 2018年 Practice Bulletin

・第4度会陰裂傷の修復には、正確な解剖学的知識が必要である
・第4度会陰裂傷では、直腸粘膜、肛門括約筋、直腸腟中隔、後腟壁の4層縫合を行う
・合併症として創感染、創離開、直腸腟瘻がある

グレイ解剖学
内肛門括約筋: 薄い 縦走 白色 平滑筋  縫う前は左右に退縮している 内肛門括約筋の再建は便失禁の予防にきわめて重要
外肛門括約筋 輪状 横紋筋

膣の上方3-4cmでは肛門よりも膣と直腸が近接
薄い→腟粘膜下組織を左右から剥離し厚みをつくる

除痛 手術室
出血制御 洗浄 →観察 裂傷の上端と範囲

OASISともいわれる
産科的肛門括約筋損傷
Obste tric Anal Sphinc ter Injury s

お産は少なくなったが 初産年齢の高齢化 ハイリスク分娩の増加 無痛分娩の普及
高度会陰裂傷に遭遇する機会は減っていない

十分な除痛
十分な洗浄 消毒 観察 500ml生食 イソジン 解剖学的オリエンテーション 
止血の徹底→創部血腫
適度な強さの結紮→局所循環不全の防止

会陰部の解剖に沿って 多層 4層で 修復することが重要
4層縫合
直腸粘膜 ①直腸粘膜+粘膜下組織 ②内肛門括約筋
ここで一回確認 内診
肛門括約筋 内診しながら引っ張って同定 縫合後も一指はいるかどうか
直腸腟中隔 の再建 間の結合組織で十分覆うように左右から順次十分寄せて厚みを確保してガード
後腟壁

縫合途中でも適宜内診 手袋いっぱい
それぞれの層の縫合前・縫合中・縫合後 愛護的直腸診内診で確認

肛門のコンチネンス

end-to-end法←→over lapping法
どちらか一方を牽引しながら縫合 結紮時の張力を最小限にするためには

広域抗菌第二世代セファロスポリン??

高度会陰損傷では尿閉を合併することも多い
尿閉がないか確認

翌朝までまってからでも良い 最大12時間
一報して手術室・外科or搬送
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☆産科手技を継承する
産道裂傷(第4度会陰裂傷)
佐世先生 山口県立総合医療センター 2019年 周産期医学

直腸粘膜の2層縫合

消化管縫合の原則は内翻縫合であり,通常はAlbert-Lembert縫合を行う
減張縫合 少し離れたところ 子宮筋層2層縫合のように

直腸粘膜組織を周囲の組織から剝離するとされているが,
実際には直腸肛門裂傷で視野が良く直腸粘膜組織が同定できていれば積極的な剝離は行っていない

可能なら,断端の層を正しく接合させる層々縫合(粘膜・粘膜下組織と筋層の2層)が望ましいとされる。
粘膜は4-0あるいは3-0バイクリル®の連続縫合,あるいは単結紮縫合を行う

連続縫合では組織の虚血に注意する必要があるとされ,筆者は原則として単結紮縫合を行っている。
消化器外科医に尋ねると直腸粘膜は連続縫合で,2層目は単結紮縫合がよいとの意見が多い。

直腸粘膜の2層縫合が終了したら,
直腸側腔から 展開された肛門挙筋(恥骨直腸筋),球海綿体筋を 2-0バイクリル®で2~3針縫合し,
直腸と腟の間隙 をこれらの筋体で補強置換する
この処置は直腸腟瘻を防ぐために重要と考えている

肛門括約筋縫合の前に緩徐に愛護的に一指を肛門に挿入し,直腸壁の縫合が正しく行われているかを確認する。
縫合中に粘膜面がはっきりしないときや合わせにくいときに直腸診を併用することがあるため,
あらかじめ清潔手袋を数枚準備しておくとよい

縫合は,end-to-end法が一般的である。
3-0バイクリル®で3,4針の結節縫合し,必要なら結節マットレス縫合で補強する

周囲の結合織も一部含めて縫合すると術後の機能回復が良好とされる
あまり強く締め過ぎると肛門狭窄を招くことがあり,
縫合後は1指が軽く肛門を通過する程度にしておくとよいとされ

直腸裂傷では まず,直腸断裂部位周囲の腟壁および結合組織を直腸壁(筋
層)から剝離し,直腸筋層表面を広く露出する。
直腸筋層面を3-0バイクリル®で直腸内腔に出さないように結節縫合を行う
続いて,腟粘膜断裂部および直腸前面の結合組織断面に3-0バイクリル®で単結節縫合を行う

婦人科医が記載した成書では,
縫合糸が肛門直面粘膜面に露出した場合は,瘻孔を形成したり感染により治癒遷延の原因となり得るため
縫合糸を直腸粘膜面に露出させないように注意すべきであるとしたものが多い
筆者も腸壁の外側から3-0バイクリル®を直腸内腔に出さないように5mm間隔で結節縫合し,さらにLembert縫合を追加してきた。

複数の消化器外科医に意見を聞いたことがあるが,
3-0あるいは4-0吸収糸を使用した場合,糸による感染を経験したことはないとのことであった。
産婦人科医の記載した参考書の中にも,直腸への糸の貫通は問題ないというものもある
。縫合糸の性能が向上したためかもしれない。筆者は縫合後の直腸診で糸を触れるような感触があっても抜糸はしていない。

むし ろ直腸診は外肛門括約筋が縫合されていることと, 外陰部から離れた直腸裂傷がないことの確認と考 えている。
縫合後に菌を粘膜下に侵入させないこと は困難である。したがって,皮膚ドレーンを考慮す る。
実際には,ドレーンを挿入する必要はなく,
粘 膜縫合と皮膚縫合の移行部に1~2針程度縫合しな
い部位を残すようにする。
この部位は,自然閉 鎖していく。


日本大腸肛門病会誌 2015年 2016年 壬生先生 山名先生

分娩時の会陰裂傷発症直後の対応は産科でなさ れることが多いが,
分娩から時間が経って治療を受 ける際には,便失禁を主訴に外科や肛門科を受診し ていることが多い。
このため,産科医は自分が加療 した第4度会陰裂傷の予後を知らないこともある。
縫合不全や瘻孔を起こしたときは,瘻孔周囲の炎症 が完全に消失した時期に治療を行わなくてはなら ない

患者が早期の治療を希望したとしても,
人工 肛門を作成した上で3~6カ月の間瘢痕治癒を待っ て再手術になることもあり
患者には多大な苦痛 を与えてしまう

高エストロゲン状況にある分娩直後は局所の血流が良好であり,
術後の直腸粘膜面は 数日で癒合し,一期的な縫合で良好な予後が期待で きる
しかし,一旦癒合不全を起こすと再縫合が 困難で極めて悲惨なことになる。
適切な初回治療が 大切であり,縫合は時間がかかってもできる限りて いねいに行うことを心がけている

榎本先生 分娩に合併した 会陰裂傷に連続しない直腸腟穿孔の一例.日本大腸 肛門病会誌 2012

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セファロスポリン→セファゾリン セフトリアキソン セフェピム
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。筋組織断端の挫滅を避けるため,ペア ン鉗子などは用いない方法もある


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第4度会陰裂傷49例の検討 2023年3月 関東連合 山口先生 日本赤十字センター 

修復法は3-0バイクリルを用いて全層筋層または粘膜筋層の二層縫合を単結紮で行った例が多かった.
16例(33.3%)で脊椎麻酔下の縫合としていた.
多くの症例で抗菌薬を静注投与し,食事は常食としていた.
全例で緩下剤を投与していた.49例中48例で一期的修復術が行われ,45例で治癒した.

局所麻酔下で修復した3例で直腸腟瘻が生じ,
1例は保存加療,2例は再手術を行い,治療後はいずれも排便障害を認めなかった.
第4度会陰裂傷のリスク因子は既報と概ね同様であり,鉗子・吸引分娩が特に強いリスク因子であった.
修復においては,十分な麻酔下で行うことが合併症の防止につながると考えられた.

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自治医大さいたま 安東先生

外科と合同手術を行なった4度会陰裂傷2例の比較検討

異なる経緯をたどった4度会陰裂傷の2例について報告する.
1例目は31歳1妊1経産.直後の診察で4度会陰裂傷を認めたため当院に搬送された

前医で縫合処置が行われた.
分娩後7日目に腟より便汁流出を認めたため直腸腟瘻の診断で分娩後8日目に当院に搬送された

縫合不全や瘻孔を起こした時は人工肛門を造設し治癒を待つこともあり患者に多大な苦痛を与えてしまう.
合併症の予防に一番大切なのは適切な初回縫合である.
一旦癒合不全を起こすと再縫合が困難で極めて悲惨な状況になる.
人工肛門造設のリスクを鑑みると,
高度会陰裂傷の直腸の縫合については消化器外科に依頼する方がより安全と考え


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JOGR
横浜市立大学 市民総合医療センター 萩原先生
分娩第2期が延長すると、重度会陰裂傷および絨毛膜羊膜炎が有意に増加


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第3度,第4度会陰裂傷の褥婦に対して,3-Dimention経会陰超音波を用いた創部修復までの評価

帝京大学 中川先生 第74回 日産婦学術講演会

【結論】第3~4度会陰裂傷の修復は産後1か月の時点では不十分である症例が存在した.
修復が不十分な症例に関しても,産後1か月健診以降に創部修復を確認できる可能性がある.
しかし創部修復を確認出来た症例の中には括約筋が菲薄している症例も認められた.
産後1か月健診の問診では便失禁などの症状を認めた症例は認めなかったが,
創部の修復が不十分であると判断した症例に関しては,産後1か月健診以降も長期的な経過を観察することが望ましい.

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【専攻医のうちにマスターしたい産婦人科の外来・短期滞在手術】産科 会陰切開縫合術・会陰裂傷縫合術(解説)
関 先生 埼玉医科大学総合医療センター

産婦人科の実際 2022年4月

正中側切開がリスク&ベネフィットの観点から最も優れており汎用されている。
(1)創部の左右の組織の層をきちんと合わせて縫合すること,
(2)原則として,止血を確実に行い,死腔を作らないようにすること,
(3)強く結紮し過ぎないこと,
(4)創部の消毒をきちんと行うこと,

の4点を留意して行う

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周産期と医療安全 第3度・4度会陰裂傷の見落とし 松本 良 川崎医科大学 2019年 周産期医学

 分娩は,依然として女性にとっては生涯を通じて 生命の危機にさらされる危険性のあるイベントで ある。

「 命をかけて生児を得る 」

会陰裂傷は児頭と産道の伸 展性の不均衡によるもので,
児の通過に必要な会陰 の十分な伸展が得られないために生じる。

吸引分娩 や鉗子分娩,胎児圧出術など胎児が急速に出口部を 通過するときや
胎勢異常などのために児頭が最小 径で通過しないとき

会陰の伸展不良や巨大児など のときに会陰裂傷を生じやすい


2,153例の鉗子または吸引分娩に 関して会陰切開を行った1,912例と行わなかった 241例の比較検討では,
会陰切開を行ったほうが有 意に重度の会陰裂傷が発生し肩甲難産の頻度も高 く,分娩外傷の頻度も有意に高い

Youssef R, : Cohort study of maternal and neonatal morbid ity in relation to use of episiotomy at instrumen tal vaginal delivery. BJOG 2005

Clemons JL, : Decreased anal sphincter lacerations associated with restrictive episiotomy use. Am J Obstet Gynecol 2005

また,会陰切 開と第3度あるいは4度裂傷の頻度および肛門筋の 損傷の頻度は,
むしろ会陰切開を避けることでそれ らの頻度を減少させることも報告されている

どのようなときに見落としが発生するか  
外肛門括約筋は断裂すると片側が退縮し表面か ら見えなくなる場合が多い。
そのため球海綿体筋や浅会陰横筋の断裂と捉えられ,第2度裂傷と判断さ れることが多い。
また,鉗子・吸引分娩や難産など で頸管裂傷,深部腟壁裂傷が生じた場合などの迅速 な対応が求められる環境ではより見落としが起き やすくなる


肛門から示指を挿入し直腸粘膜をなぞる ように裂傷の程度を確認し,さらに両示指で裂傷を 優しく挟み再度確認する。
続いて,裂傷面の両側を 指でなぞり陥凹がないかどうかを確認する。
陥凹を 感じた際は,外肛門括約筋の断端が退縮しているこ とが多い


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定月先生 妊娠中―妊娠24週,前回分娩時第4度会陰裂傷で, 1 回縫合不全のため再縫合。今回の分娩方針は? 2017年  周産期医学

分娩後早期に縫合不全を発症した場合は創部離 開,腟粘膜からの便失禁により入院中に気付かれることが多い。
瘻孔が極めて狭小な場合は,抗菌薬, 低残渣食で保存的に経過を観察することも可能で ある
。肉眼的に目視可能な瘻孔では創部の状態が良 ければ一期的に縫合できるが,
便による汚染のコン トロールが難しく感染の制御が困難と予測される 場合は,
人工肛門を造設した上で二期的に再縫合を 行う。


分娩時に高度会陰 裂傷を認めた場合は長期のフォローアップが必要 と考えられる。

子宮口全開大に至るもstation+2cmから分娩 進行せず,
腟壁にリング状の硬結と陥没部分を認め たため緊急帝王切開での分娩となった。児は2,548 gであった
本症例では児頭が下降し,腟壁が伸展 して初めて会陰形成創部の瘢痕が明らかになった。

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順天堂大学 牧野先生 interpositionを用いた直腸膣痩根治術を行った第4度陳旧性会陰裂傷の2例 2016年 第38回 日本産婦人科手術学会

直腸膣痩根 治術を行った。
膣粘膜を切開し,直腸を後膣粘膜から剥離し広 範囲に側方へ剥離を進めた。
痩孔部分を避けて上部まで直腸 を剥離した後に,痩孔部分を切除した。
直腸を2層縫合し,直 腸膣中隔,会陰筋群の縫合,
ついで肛門挙筋を周囲の組織か ら剥離同定し,左右の肛門挙筋を縫縮した(interposition)。
会 陰筋群を縫合した後に膣壁を縫合し手術終了となった。

術後は連日の膣洗浄を行い,5日間の半消化態栄養剤の経口およびビタ ミンB1・糖・電解質・アミノ酸液の静脈投与を行い,
術後5日目 から低残渣食を開始し管理を行った。また,入院は下剤の投与を行い,硬便にならぬようにした。

修復術において重要なことは局所 の血流回復である。
そのためにはinterpositionによる肛門挙筋 の血流を修復部に確保することで成功率の向上が望まれる。
ま た,十分な蛋白を含めた栄養補充を行い,
術後の局所への負担 を軽減するために軟便にすることも重要である。

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特集 周産期医が習得したい専門的手技一産科編  会陰3度,4度裂傷縫合術  赤岩先生 東大阪 小阪三病院 2012年 周産期医学

可能なら,断 端の層を正しく接合させる層々縫合(粘膜・粘膜 下組織と筋層の2層)が望ましい
Williams Obstetricsの記載は層々縫合である。

説明は,必要に応じて退院までに行う。
前処置  点滴,抗菌薬(CEZ 2 g)投与は,4度裂傷と判断 した時点で,縫合前に開始。
2度会陰裂傷時の麻 酔に加え,肛門周囲の扁平上皮領域に局所麻酔を 行う

洗浄・消毒は,指が届く範囲の便塊を排除した後,生食,または消毒液で洗浄する。
ここで 手袋を交換し,以後,直腸粘膜,裂傷部への接触 を最小限にする

Albert法は全層縫合で,糸は粘膜に出る。 
Lembert縫合は筋層縫合で,粘膜を貫通しないことが重要

4度会陰裂傷の確認
内肛門括約筋:白色の線維組織。局麻後に軽く会陰方向 に引っ張ると同定しやすい 外
肛門括約筋:埋没している場合もあるが,見慣れた横 紋筋なので同定は容易
裂傷部を確認したら,断端の挫滅を避けるため,鉗子で 把持しない

通常の会陰裂傷で連続縫合に慣れている場 合,連続縫合が確実である。
Williams Obstetrics  の最新版にも,2層の連続縫合が詳述されてい  る。
細い吸収糸の結節縫合は手数が多く,確実性も低い。
1層目を4-Oか3-Oのバイクリル,2  層目は3-Oのバイクリルで連続縫合を推奨する。

縫合後 D直腸診を行い,外肛門括約筋の輪状収縮感と  その奥の内翻縫合を確認する。

アドバイス
高度会陰裂傷を会陰保護の不手際と思わず,  冷静に対応する。
RCOGのinformation for youに  は,3度・4度裂傷は予測できないこと,確実  な予防法はないこと等が明記されている

2)産科医なら必ず遭遇すると想定し,4度会陰裂  傷の処置手順をイメージしておく。
ネット上に  は,さまざまなトレーニング方法が提案されて  いる、

3)精肉店で入手できるシマ腸(ウシの人腸,テッ  チャン)で,腸管2層縫合による内翻縫合のト  レーニングを,お勧めする。これは,帝王切開  時の膀胱壁損傷の修復にも役立つ
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会陰第3・4度裂傷および肩甲難産を予防する会陰 切開法について
広島市立広島市民病院  吉田先生日本周産期・新生児医学会雑誌 2012年 6月

深い会陰切開とは会陰正中側切開を尿生殖 隔膜筋群を越えて入れることである

第3・4度裂傷を予防するには
深い会陰正中側切開をハイリスク群に用いることが必要であることを示し た

また,この方法で分娩時の首の下降がスムースとなり,肩甲難産を防 ぎうることが示された.

早く深く切って 引かない 押さないのが良いか?!!!

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周産期医療インシデントレポート   3度・4度会陰裂傷の見落とし  中西 国立国際医療センター戸山病院先生 周産期医学 2009年

最も見落としやすい症例は,
肛門括約筋断 裂のない直腸損傷である。
また,縫合糸が肛門直 腸粘膜面に露出した場合は,痩孔を形成したり, 感染による治癒遷延の原因となり得るため,縫合 には十分な注意が必要である。
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後期臨床研修医のための基本手技 会陰裂傷(3,4度)修復術,頸管裂傷修復術 柳原先生 周産期医学 2007年
香川大学 

産道損傷を予 防することも重要であるが,避けがたい場合も多 く,その修復法を習得しておくことが重要である。

 第3度裂傷の診断は,直視下で肛門括約筋の一・ 部断裂や完全断裂を診断する。
正常分娩後でも肛 門括約筋が弛緩しており,ほとんど抵抗のない症 例も存在するため
直腸診のみによる肛門の弛緩や 括約筋の抵抗消失では診断できない場合が多い。
3度裂傷には4度裂傷を合併する場合も多く,必 ず直腸診を行って確認する必要がある。
ただし, 直腸膣中隔が破綻している場合が多く,
強く直腸 粘膜面前方を手指で圧迫した場合,直腸を開放し てしまう場合があり愛護的な診察が必要である。

断裂した筋肉組織は脆弱で細い場合が多 く,ペアン鉗子で強く把持・牽引すると断裂する 場合もあり,粘膜鉗子を使用するほうが安全であ ろう
 括約筋把持の確認には,牽引した場合の肛門輪 の動きや直腸診による括約筋の動きによって行う。
括約筋縫合には2-0または1-0の吸収糸を用い る。細い糸では結紮時に筋組織の断裂が発生する ため避けるべきである
。ただし,完全断裂ではな く,一部の断裂のみの場合には3-0による修復も 可能である。
縫合法は筋組織の断裂を避けるため 単結紮は避け,Z縫合・U字縫合などで行うこと を勧める。
結紮時には,助手により把持した鉗子 で断端をよせた状態でゆっくり結紮することによ り筋組織断裂を予防する。

。また,筋組織単独でなく周囲組織も一括して縫合するほうが容易であり 癒合もよく,機能回復も早くなる

。直腸粘膜の縫合は,二層縫合す るためまず周囲の結合組織から直腸を十分に剥離 し遊離させる。
粘膜縁に凹凸がある場合縫合接着 が容易になるように一部の粘膜を切除し創端を平 滑にする。
縫合糸は合成吸収性縫合糸3-0の丸針 付きを使用し,単結節縫合を行う。
ダンキ針は粘 膜の穿刺穴が拡大するため使用しない

角針× 丸針〇
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第3度会陰裂傷・第4度会陰裂傷 産科と婦人科1979年
防衛医大 加藤先生

発 露より児娩出には患者は勿論,会陰保護者自身 も一・呼吸し直して,one cushionおいて,児を娩 出させるようにすることが大切である.
分娩第 2期に長時間かけることは,母児共に悪影響を 与える故,出来得る限り短時間で経過させるよ うにすべきであるが,
児娩出時は,如何なる胎 位でも,児は鼻さえ陰裂外に出さえすれは死亡 することはない故,
一呼吸してゆっくりと娩出 させることが,第3・4度会陰裂傷を防ぐコツ である.

切開は一気に行なうこと.
切開創が小さす ぎると会陰切開の効は全くなく,かえって大き な不正会陰裂傷を生ずる恐れがある

1の要点:第3・4度会陰裂傷を予防するた めには児娩出時急速に娩出させないよう
最終段 階でー呼吸おいて娩出させることと,会陰切開 を早目に,充分入れることである,

後腫壁の直腸からの剥離は充分に行なうこ と.
剥離の際,直腸腔中隔結合組織を出来うる かぎり直腸壁側に付着させて剥離すること.
結 合組織を直腸壁から剥離してしまい,薄い直腸 壁にしてしまうと,癒合不全を起こしやすい.
腔上皮は充分剥離して,腔上皮のみになっても 差支えない.目標は腔上皮のみになると,腔 上皮の裏面は帯白色になる故わかりやすい.
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<会陰保護重要性>

学生の分娩介助技術による第3・4度会陰裂傷を予防する取り組み

国立病院機構 仙台医療センター附属仙台看護助産学校

板元 

会陰裂傷発生要因の一つに分娩介助技術がある。助産学校では分娩
介助技術習得は必須であるが、技術の未熟さによる会陰裂傷の発生を最小限に
とどめる必要があると考える。

平成24年度から学生の分娩介助技術による第
3・4度会陰裂傷発生を予防する取り組みを行い、発生件数が減少する等の結
果が得られたので報告する。

【方法】会陰裂傷3・4度発生時に学生にインシデントレポート
【結果】インシデントレポートを活用した学生との振り返りから、技術の未熟さだけでなく対応困難なケー
スか多いことがわかった。

周知徹底を試みた。結果、平成24年度からの4年間で学生が携わった分娩における第3・4度会陰裂傷
の発生件数は17件から10件に、その中で学生が直接介助した件数は14件から4件に減少した。

【考察】学校側が学生の分娩介助技術による第3・4度会
陰裂傷の発生予防の必要性を感じ、取り組みの工夫を行い実習施設へ働きかけ
た。そして取り組みを理解した実習指導者が、母児の安全安楽を最優先に考え
実習指導にあたり、減少という結果につながったと考える。


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